高際区長の政治姿勢について
政治資金パーティ裏金事件について
10月におこなわれた衆議院選挙で、自民党、公明党は、過半数割れしました。自民党の政治資金パーティーによる裏金づくり、さらに選挙の最中に、裏金非公認議員に対する政党助成金からの2000万円の支給という一大事件が渦巻いた選挙結果でした。
また、国民から湧き起こる、企業・団体献金の禁止、紙の健康保険証の存続、選択的夫婦別姓、学費値上げストップなどの声に全く耳を貸そうともしなかった自民党政治に対する怒りが反映した結果です。
今月7日、自民党は衆院選を総括する懇談会において、石破首相は陳謝しましたが、裏金事件問題解決の具体策は示しませんでした。政治家個人への献金は禁止されましたが、支部、政党を受け皿とする抜け道は残り、裏金の原資となったパーティー収入は、大半が企業・団体による購入です。依存すると、国民に目が向かなくなります。そのため国民には痛みを押し付けて、企業・団体の利益が優先されることになります。販売ノルマを超えた売上金は、派閥から議員に還流したり、議員が派閥に納めずに中抜きしたりするやり方、キックバックの不記載が組織としてシステム化されている。こうした自民党の組織的犯罪に国民は審判を下しました。その元凶の企業・団体献金は全面禁止すべきです。
そこで伺います。
(問)自民党の裏金問題について、区長はどう考えますか。
(答)政治資金の在り方に厳しい国民の目が向けられております。石破首相は、年内にも法制上の措置を講じるなどの意向を示しており、国民の政治不信を払拭する今後の取組みを期待しています。
(問)こうした一大事件が渦巻く中、衆院選挙最終盤、区長は自民党候補者の応援演説を行いました。なぜでしょうか。お答えください。
(答)私が応援洟説を行った候補者は、衆議院議員として3期11年の実績がある方です。豊島区を地盤に地道な活動をしてきた方であり、政策的に共感できるところが大きいことから応援いたしました。
核兵器のない平和な世界へ
広島・長崎の原爆投下から、まもなく80年となるタイミングで、日本原水爆被害者団体協議会、被団協が、今年のノーベル平和賞を受賞しました。これは世界から長年の間、待たれていた受賞です。
受賞にいたるまでは長い苦難の道のりでした。被団協代表委員、田中煕巳さんが次のように語っていたのが印象的でした。「1976年に被団協メンバーとして初めて国連を訪問した時は死者数ですら過小に捉えられていて、おかしいと悔しかった。きのこ雲の下の壮絶な被害が全く伝わっていないと痛感した。その後、国連で直接訴え、各国代表が総立ちで拍手が起きたこともあった」というものです。
本来であれば、唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器のない世界を主導する責任があります。ところが、政府はアメリカの核抑止に固執する立場から核兵器禁止条約への参加を拒否し、条約締約国会議へのオブザーバー参加さえ拒否しています。そればかりか、核の傘をいっそう強化するための日米閣僚級協議まで創設し、石破首相にいたっては、就任直前にアメリカとの核共有や核持ち込みを主張し、国是である非核三原則を無視する態度を取りました。抑止力と言って核兵器に頼るのと、無くすのとでは、どちらが安全か、答えは明白です。
そこで伺います。
(問)今年、「核兵器と人類は共存できない」と人生をかけて訴え続けてきた被団協が、ノーベル平和賞を受賞したことについて、どのように受け止めましたか。
(答)被団協のノーベル平和賞受賞につきましては、23区でいち早く非核都市宣言をした豊島区の区長として、関係者の皆様のこれまでの御労苦に深甚なる敬意を表しますとともに、これを契機に、区民の皆様の非核平和に対する意識が一層高まることを期待しています。
(問)被爆者やご遺族の高齢化が年々すすむ中、次の世代へ戦争体験を引き継ぐ取り組みが必要です。来年は、東京大空襲・戦後80年です。この大事な節目を迎えるにあたり、重点施策に位置付けることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
(答)来年は、戦後80年という節目の年を迎えます。長い年月の経過に伴い、戦争への関心が薄れていくことを懸念しています。また、戦争体験者の高齢化が進み、当時の話を語り継ぐことは年々難しくなっています。こうした中で、本区では、東京大空襲の記憶をつなぐ根津山小さな追悼会や原爆被爆者「豊友会」の関係者の皆様と、来年の事業実施に向けた意見交換を始めました。会の皆様からは、「節目の年だからこそ、これまで以上に次世代にしっかりと戦争の記憶を引き継ぐための事業を実施していきたい」旨のご意見をいただいております。こうしたご意向を受け、これまで継続していた語り部事業の拡大など、戦後80年となる来年度は、小・中学生に重点を置いた平和事業の実施を検討しています。
(問)高際区長は、今年5月、米大統領宛に出した、臨界前核実験に対する抗議文に「東京23区で初めて非核都市宣言を行ない、今日まで核兵器の廃絶と世界の恒久平和に向けて様々な取り組みを継続してきた豊島区としては、誠に遺憾であり、強い憤りの念を禁じえない」と、厳しく抗議されました。区長として相応しい内容に同感いたしました。私の母は長崎市出身です。原爆に対する強い怒りを持っています。そこで改めて、区長の核兵器に対する思いをお聞かせください。
(答)本区は、「世界の恒久平和は、人類共通の願い」であること、そして、「われわれは、人類唯一の被爆国民として平和憲法の精神に沿って核兵器の全面禁止と軍縮の推進について積極的な役割を果すべきである」と表明する「非核都市宣言」を掲げており、私の非核平和に対する考えは、この宣言と何ら変わるものでなく、これからも変わることはありません。
(問)非核都市宣言は「我が国の国是である非核三原則(造らず、持たず、持ち込ませず)が無視され、われわれの海や大地に核兵器が持ち込まれることを懸念し、いかなる国の、いかなる核兵器も配備、貯蔵はもとより、飛来、通過することをも拒否する」としています。昨年3定、清水みちこ議員に、区長は「本区では、核兵器の全面禁止と軍縮の推進に積極的役割を果たすべきとする非核都市宣言を掲げており、私の非核平和に対する考えは、この宣言と何ら変わるものではない」このように答弁しました。そうであるならば、自民党が非核三原則を無視し、抑止力だとして核共有や核持ち込みをすすめることに断固たる姿勢で抗議すべきです。いかがでしょうか。
(答)非核三原則に関する自民党への対応についてですが、自民党総裁である石破総理は、総理就任後に非核三原則を政策上の方針として堅持する旨表明しており、豊島区長として、自民党に対し抗議する考えはありません。
(問)3定の答弁にあるように「国防や外交といった国政レベルの問題」では、もはや済まされません。米大統領に抗議したように、日本政府に対しても、「核兵器完全禁止・軍縮、全世界の非核武装化にむけて努力する」この立場で、核兵器禁止条約への署名・批准をただちに行い、核兵器廃絶の先頭に立つよう強く求めるべきです。区長の見解を伺います。
(答)国が核禁止条約に参加していないことにつきましては、国防や外交といった国政レベルの問題であることに変わりはなく、本区から国に対し、参加を求めることは考えておりません。
エネルギー政策と気候危機打開策について
原発をゼロにすることは、東日本大震災、福島第一原発事故を経験した多くの国民の願いです。事故後、政府は「原発依存度を可能な限り低減させる」と言っていましたが、岸田前政権は、昨年2月、脱炭素の国際的な要請やエネルギー危機を理由に、依存度低減路線を大転換し、新規建設を盛り込んだ基本方針を閣議決定しました。石破政権も原発を最大限活用すると公約しました。
先月29日、東北電力は女川原発2号機を起動。東日本大震災被災原発の再稼働であり、事故対策などを施した費用は7,100億円に上るとされています。13年間の長期停止に伴う不具合や劣化、トラブルへの懸念が解消されていません。案の定その後、不具合が生じ、原子炉は停止され、綱渡りの再稼働に批判が集中しています。
避難計画についても、原発は、牡鹿半島の中央に立地し、近くには離島もあります。付近の住民は、一本の山道しかなく、いったん原発に向かって逃げるしかない。東日本大震災の時は、行き場を失い、原発構内に避難した人もいたほどです。住民は孤立し、命と安全を守れないとして、運転差し止めを求めた裁判が行われています。
そこで伺います。
(問)女川原発が建設された三陸海岸は、歴史的にも幾度も大津波に襲われてきました。私たちはこの間、大地震を経験し、原発事故の危険性は決して忘れてはならない教訓であるはずです。女川原発の再稼働について、どのように考えますか。
(答)女川原発については、防潮堤の高さを見直し、国内最高レベルとなる海抜29mの防潮堤を整備するなどの津波対策を行ったうえで、世界で最も厳しいと言われている規制基準を適用した原子力規制委員会審査などを行うなど、国において安全性を確認したうえで再稼働に至ったものと認識をしております。
(問)これで再稼働した原発は13基になります。背景にあるのは、経団連が主要政党の政策評価で、課題として原子力の最大限活用をあげ、再稼働と新たな増設を急げと、繰り返し要求しています。このように原発政策は財界の意向であり、国民の願いではありません。国に対し、ただちに稼働停止するよう強く求めるべきです。見解を伺います。
(答)これまで国においては、原子力の利用にあたり、エネルギーの安定供給を大前提としたうえで、安全性を最優先する方針が示されており、国の責任あるエネルギー政策が進められているものと考えられるため、現時点で、国に稼働停止を求めることは考えておりません。
エネルギー政策を考えるうえで、気候危機の打開は喫緊の全人類的課題です。今年もゲリラ豪雨、雷雨をともない、10月下旬まで夏日が続くほどの異常気象でした。農業や水産業にも大きな被害が出て、生態系にも脅威を与えています。
温暖化の主な原因となっているCO2を最も排出するのが石炭火力です。国連は先進国に対して2030年までにCO2を大量に排出する石炭火力発電の段階的廃止を求めています。G7各国は、それぞれ石炭火力の廃止期限を表明し、イギリスは今年の9月、全てを廃止しました。アメリカも2035年までに発電のネットゼロを表明。その中で、日本は唯一、撤退期限を示さないどころか石炭火力の延命をすすめています。
そのため、日本では太陽光発電など再生可能エネルギーの導入は遅れ、昨年で24%しかありません。しかも、2030年度の目標は36%から38%に過ぎず、すでにイギリスが46%達成、ニュージーランドやオーストリア、北欧諸国が80%以上達成しており、多くの国が日本の6年後の目標を、すでに大きく上回っていることからも、立ち遅れが際立っています。
気候危機が切迫し、国内外で多くの人々が対策を求めている中、国と大手電力の態度は、世界から逆行するものです。
そこで伺います。
(問)原発と石炭火力に依存した日本の、再生可能エネルギー導入が世界から立ち遅れている状況について、どのように考えますか。気候危機の問題と照らし合わせてお答えください。
(答)国のエネルギー基本計画では、気候変動問題が世界各国が取り組むべき課題であることを前提とした上で、石炭火力発電については、エネルギーの安定確保の観点から、一定程度維持しつつも、旧式で非効率な発電所の廃止を進めること、また、原子力発電については、再生可能エネルギーの主電源化と並行して、依存度の低減化を進めることなど、2 0 5 0年カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策が明確に示されていると認識しております。
(問)区は2021年にゼロカーボンシティを宣言し、翌年、2050としまゼロカーボン戦略を策定しました。実現するには、公園を増やし緑あふれる街にするなどが必要ですが、国と一体となり再開発ビル建設を主体としたまちづくりをすすめています。これではゼロカーボン戦略と逆行しますが、いかがでしょうか。
(答)東池袋1丁目地区市街地再開発事業においては、みどりの丘や壁面緑化等により、約1,600mもの緑地が整備されます。このように再開発事業によって、広場や空地が賑わいや憩いの空間として緑化され、みどり豊かな空間として新たに生み出されることから、再開発事業がゼロカーボン戦略と逆行しているとは考えておりません。
(問)区は、2030年度の温室効果ガス排出量削減目標を2013年度比50%としています。環境年次報告書を見ると2021年度までに18.2%削減したとありますが、残り半分の期間において、ペースを上げなければ目標達成できません。今後、どのように取り組んでいくのか、具体的にお答えください。
(答)これまで、温室効果ガスを削減する施策を進めてきた結果、2 0 1 3年度比50%削減の達成に向け、排出量は着実に減少してきております。具体的には、省エネルギー、再生可能エネルギー導入の促進、低炭素モデル地区の設定によるCO2排出の抑制、区民・事業者の行動変容、区の事業から排出されるCO2削減の他、エコ住宅・エコ事業者普及促進事業では、今年度から予算を2倍に増額するなど、省エネルギー設備や太陽光パネルの設置を後押ししてまいりました。また今年度から若手職員中心のプロジェクトチームを立ち上げ、区・区民・事業者が自分事として行動するための提案や呼び掛けなど、実効性ある取組みを検討・推進しております。さらにチームとしまにおいても、環境に優しい行動の実践をテーマに、本区職員と共に新たな方策の検討を行っております。今後行政・区民・事業者が一層連携し、こうした施策や活動を更に推進し、目標達成に向け取り組んでまいります。
来年度予算に組み込むべき施策について
国民健康保険について
政府は、2018年度から国保の都道府県化を行いました。これにより国保財政は、区市町村単独の運営から、都道府県と区市町村の共同運営に変わりました。東京都は納付金を集めるために必要な保険料の水準として、標準保険料率を提示しており、事実上、保険料を決定する権限を持っています。特別区では、一般財源を投入して国保料負担を軽減しているとはいえ、わずかばかりの減額であり、標準保険料率は特別区が独自の繰り入れを行わないことを前提として決められています。
今年度の特別区の一人当たり保険料は、医療分、後期高齢者支援金分の合計156,520円。昨年度から13,157円、9.18%もの値上げで、2年連続大幅に上がりました。国保加入者からは、「独身ですが毎月5万円です。家賃と変わらない」とか「家族で毎月10万円近く支払っている。苦しい」とか「無職になったが月額5万円。娘が大学に入学し、貯金は底をつきそう」など、悲痛な声が相次いで寄せられます。年収400万円の35歳夫婦、小学生のお子さん1人だと、46万4517円ですが、この8年間で約12万円もの大幅値上げです。
そこで伺います。
(問)大幅に上がっている保険料について、国保加入者から寄せられる声は、どのようなものがあるのでしょうか。
(答)保険料の引き上げが続き、一部の被保険者からは、保険料の負担が大きいという声があります。国民健康保険の被保険者には、会社を退職、転職したばかりの方が多いため、「前年より収入が下がっているのに保険料が上がってしまった」という声や、豊島区に非常に多い外国人留学生の被保険者からは、保険料の割引制度を求める声が多く寄せられています。
(問)保険料率の算定において、23区統一で、特別区独自の激変緩和措置を、国の方針に沿って無くそうとし、法定外繰入の解消、削減を強行しており、これからも上げ続けようとしています。しかしながら、保険料の値上げは、自営業者や年金生活者、非正規雇用者などの暮らしを圧迫し、とりわけ均等割が、子育て世帯に重い負担がのしかかり、子育て支援に逆行するものです。今よりもさらに、保険料が上がることについては、もう限界です。引き下げるべきです。
(答)国民健康保険は被用者保険に比べて中高年齢の方が多く加入していることから、医療費水準が高いことに加え、無職や非正規雇用者等、保険料負担能力が弱い加入者が多いという構造的な課題を抱えているため、急激に保険料が上昇しないように配慮する必要があると認識しています。そのため、近年、1人当たり医療費の増などによる保険料負担の増傾向が続いていることから、特別区は独自に、急激な保険料の上昇をできる限り抑えるための「保険料算定におけるロードマップ」を作成し、激変緩和措置を実施しています。今年度の保険料はその上で更に、物価高騰の影響を保険料に転嫁しないための、単年度限りの負担抑制も行い、可能な限り被保険者の負担軽減を図っております。
(問)標準保険料率は参考値であり従う義務はありません。また、区が繰り返す「法定外繰入金を増やすと負担の公平性の観点からも行わない」というその考えも間違っています。協会けんぽ、組合健保と比べ、2倍ほども高い保険料であることこそが不公平です。今、自治体独自に、子育て世帯や障がい者・児のいる世帯、ひとり親世帯や生活困窮者などの保険料引き下げが行われています。また18歳までの子どもの均等割の無料化を求める声が広がり、減免措置を決めた自治体も増えています。本区において、子どもの均等割の減免措置と無料化の拡大、低所得者等への保険料減額を行い、保険者として責任を果たすべきです。所見を伺います。
(答)我が国では、少子高齢化の進展、人口減少などに伴って持続可能な社会保障制度の確立が重要な課題となっています。その中で、多額の法定外繰入に頼る国保財政の健全化は最重要課題とされています。国保財政の健全化を図るためには、医療費の適正化、収納率の向上、法定外繰入の解消または縮減を統一保険料方式の下で行っていくべきであり、保険料軽減のために安易に法定外繰入を増やすことは、区の財政健全化に反するため、これを行うことはできません。低所得者や子育て世帯に対する保険料軽減策については、国や東京都に対して、財政措置を講じるよう引き続き強く要望してまいります。
介護保険について
2000年4月から介護保険制度が始まり24年が経過しようとしています。それまでの介護事業への国の負担割合50%を介護保険制度では25%に半減させたため、制度発足当初から、わが党は、年々、保険料が高くなっていくこと、自治体の負担も増え続けていくことが問題だと指摘し、強く改善を求めてきました。介護保険制度における職員の処遇は悪化し、サービスや利用は抑制され、要支援者の保険はずしまで行われてきました。利用料の2割、3割負担導入など、国は財政支出を抑えることを進めてきたと言えます。
そこで伺います。
(問)2020年に読売新聞が「介護保険20年」の特集のため、23区を含む106自治体を対象としたアンケートでは、9割の自治体から「介護保険を今後10年、現行制度のまま維持するのは困難」という回答がありました。理由の1位は「人材や事業所の不足」、2位は「保険料の上昇に住民が耐えられない」ということでした。介護保険制度の24年を振り返り、どのように考えているのでしょうか。
(答)急速な高齢化の進行に伴い、平成12年の制度開始時は約5, 000人だった65歳以上の要介護認定者数は、令和5年度末には約12, 000人に、介護保険料も第1期の月額3, 025円が、第9期では月額6, 200円となっています。また、この間介護保険制度は、介護サービスの充実とともに介護保険制度の持続可能性を高めるため、地域包括支援センターや24時間対応の定期巡回等サービスの創設、地域包括ケアシステムの推進など、様々な改正がなされてきました。2 4年たった今、介護保険は介護等が必要となった高齢者やその家族などを社会全体で支える、区民の皆様の生活に無くてはならない制度として、定着してきたと考えております。
(問)解決すべき課題をどのように考えているのでしょうか。
(答)区民の皆様の生活に定着した一方で、近年の介護保険制度の課題として、「介護人材」と「財源」の2つがあると考えています。少子高齢化等を背景に、介護業界は慢性的な人材が不足しており、本区においても2040年には介護職員が約270人不足すると見込んでいます。地域特性に応じた質の高い、安定したサービスを提供するためには、ハローワークと連携した就職相談会や介護職員の宿舎借り上げ事業、介護研修など、人材確保等の取組みを拡充する必要があると考えております。また、3年ごとに介護保険料を見直す中、保険者である区市町村は、介護給付費準備基金を設けて、給付費の過不足が生じた場合には積み立てや取崩しを行うなど、被保険者の皆様に安定して保険給付を提供するよう努めています。加えて、同様に基金を活用し、区民の皆様にとって保険料負担の急激な増大につながらないようにしております。さらに、国の負担割合2 5%のうち約5%は全国の保険者の財政格差を調整する目的の調整交付金として支出されますが、交付率は、第1号被保険者における後期高齢者加入割合や所得段階別加入割合によって増減します。本区では被保険者における後期高齢者加入割合が全国平均よりも高く、所得段階別の加入割合では高い方の割合が全国平均よりも低いため、現状で、交付割合はおおむね5%程度となっていますが、もし、今後、交付率が減少した場合、差額を保険料から充当することになり、区民の皆様の負担が大きくなるため、国に対し、機会をとらえて引き続き、財政支援について要望いたします。
(問)区民から寄せられる切実な声は、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれお答えください。
(答)介護保険課に寄せられた声としては、「介護負担」、「生活支援」、「経済的負担」などがあります。具体的に挙げますと、「介護負担」については、「認知症の家族の介護は肉体的より精神的苦労が大きい」、「生活支援」については、「要介護認定者世帯、特に高齢者同士の場合は防犯や消防に不安がある」、「経済的負担」については、「その家庭での収入に応じて、国からの支援を充実してほしい」といった声が寄せられています。
次に、介護保険料についてです。
介護保険制度が始まったとき、第1号被保険者の保険料の基準額、全国平均は月2,911円でしたが、本区では第8期、第9期ともに6,200円と2倍以上になっています。この間、利用者からも全国の自治体からも、介護保険料の負担はもう限界という声が上がっています。区民からは「少ない年金から介護保険料がたくさん引かれて生活が苦しい」という切実な声が後をたちません。払いたくても払えない方は、滞納のペナルティとして介護給付制限を余儀なくされてしまいます。
そこで伺います。
(問)介護給付費準備基金積立金が過去最高額、約49億円にのぼることが示されました。第9期の3か年で保険料の据え置きに10億円ほどを取り崩す。今後の給付費の増加に備えるとしています。あいつぐ物価高騰で厳しい生活を送る区民に寄り添う姿勢が求められています。この積立金をさらに取り崩すなどして、第10期の改定を待つことなく介護保険料を引き下げるべきと考えます。所見を伺います。
(答)介護保険料は、介護保険事業計画の中で介護給付費の見込量等を算定することで、3 年ごとに見直しを行っています。今期中に介護給付費準備基金を約9億6千万円取り崩す予定でおりますが、今期の介護給付費については、令和6年9月実績が前年度の同月実績を上回っており、想定以上の基金の取り崩しが必要になる可能性があることや、来期以降、後期高齢者が増加する見込みであり、そうした将来的な給付費の増加を見据え、将来の急激な負担増につながることのないよう備えるためにも、慎重に判断する必要があります。したがいまして、今期中のさらなる基金の取り崩しによる保険料の引き下げは考えておりません。
次に、家族の負担を軽減することについてです。
国は、特養ホームは増設を抑制する一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など料金が高く、低所得者には利用できない施設に重点を置いてきました。また、要支援者へのサービスを介護給付から介護予防サービスに切り替えるとか、特養ホームの入所対象を原則として要介護3以上に限定するなど、給付を削減し、介護サービスの取上げを行ってきました。
そうなると家族に負担がのしかかります。介護難民、老老介護、介護離職、ヤングケアラーが次々と社会問題化しました。心中をはかった痛ましい事件や、介護を受ける高齢者への虐待など、介護における深刻な問題があいつぎます。
そこで提案します。
(問)在宅で介護をしている同居家族に対して、介護手当給付金を創設してはいかがでしょうか。所見を伺います。
(答)在宅要介護者については同居家族のみがその負担を負うものではなく、在宅医療、介護サービス、地域の支援者等が連携し、地域包括ケアシステムの中で支えております。また、令和5年度からは重層的支援体制整備事業として多世代や複雑な課題を抱える家族に対する包括的な支援を行っているところです。今後も介護が必要な方とその家族に適切な支援が行き届くよう、一層努めてまいります。そのため、同居家族に対して介護手当給付金を創設する考えはございません。
次に、介護報酬についてです。
3年に1度の介護報酬の改定で、今年4月から身体介護、生活援助等の訪問介護の基本報酬が2%から3%引き下げられました。介護事業所は経営難、人手不足が、いっそう加速しています。
東京商工リサーチは、介護事業者の倒産が急増し、今年1月から10月の介護事業者倒産は145件となり、年末まで2か月を残す中、年間最多を上回った。基本報酬が引き下げられた訪問介護が72件と半数を占めたことが増加の要因と公表しました。訪問介護の多くは小規模事業者であるとのことです。
現実に事業所からは次のような声が相次ぎます。「報酬引き下げは思ってもみなかった」「賃金補償ができず職員の確保ができない」「高齢のヘルパーが辞めたいと言っても慰留を必死に求める」「事業所を閉鎖する予定」などです。区内においても、訪問介護の多くは小規模事業所が担っており、経営の逼迫が、介護サービスを十分提供できない事態が広がっています。
そこで伺います。
(問)区民から「訪問介護をお願いしたが断られてしまい、ヘルパーさんを探すのが大変」などの声があがり、区内でも介護ニーズに応えられない事態が広がっています。この現状についてどのように認識しているのかお答えください。
(答)区内の訪問介護事業所は、令和6年10月31日現在、69事業所です。令和4年4月1日以降、新規開設は7事業所、廃止は5事業所です。令和6年中に新規開設した事業所は4か所ありますが、廃止となった事業所はありません。しかしながら、訪問介護をはじめとした介護サービスは、高齢者が地域で安心して暮らすために欠かせないサービスであるにもかかわらず、現状として、介護人材の不足が厳しい状況と認識しておりますので、区民の皆様に必要な介護サービスが確実に提供されるよう、人材の確保に向けた取組みを進めてまいります。
(問)10月の決算特別委員会で、わが党、儀武さとる議員が「基本報酬引き下げの影響や事業所の現状について実態調査すべき」と質したところ、区は「来年度調査する」と答えましたが、遅すぎます。直ちに実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
(答)第10期介護事業計画の策定に向けた介護保険アンケート調査につきましては、喫緊の課題である介護人材の確保等に加え、ビジネスケアラー支援に関することなど、新たに調査項目を増やすべき課題も見られます。このため、次回の調査では、これらの状況把握ができるよう、内容を見直す必要があることから、来年度に実施いたします。
(問)事業所が縮小し、閉鎖されて困るのは区民です。区内の事業所が安定してサービスを提供できるようにするのは区の責任です。国に対し、介護従事者の処遇を改善するために報酬引き下げを改め、次回の改定を待たずに介護報酬の引き上げを行うよう求めるべきですが、いかがでしょうか。
(答)区は、毎年、特別区長会を通して、適切な介護報酬の担保も含め「介護保険制度の充実」についての要望を挙げておりますので、引き続き行ってまいります。
(問)国が行っている介護職員の処遇改善では不十分です。そこで区独自の対策が必要です。介護事業所に家賃などの固定費や物価高騰に対する支援、介護職員へ処遇改善の補助金の支給を行うなど、誠実な努力をすべきです。所見を伺います。
(答)介護サービス事業所に対する物価高騰対策支援金の支給についてはこれまでも行ってきましたが、さらに今年度半期分を本定例会に補正第7号として上程しております。また、処遇改善対策については、今般の報酬改定では、処遇改善分について2年分を措置しており、令和7年度分を前倒しして賃上げすることも可能となっています。また、東京都においても、国が報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員等に居住特別手当を支給する事業者への支援を行っております。区といたしましては、こうした国や東京都の処遇改善等の動向を踏まえ、引き続き介護事業所の実態把握に努めてまいります。
高齢者施策の拡充について
高齢者紙おむつ等支給について
おむつをつけて過ごすことになると、社会生活は制限されることになり、気持ちも沈んでいきます。深夜のおむつ交換などは、本人はもとより介護する家族、双方にとって尊厳にもかかわる大きな問題をかかえることになります。
寝たきりになるなどして、常時おむつを使用することになると、おむつ代が家計を圧迫することになり、そこへ物価高騰が追い打ちをかけ「毎月、1万円2万円を超えて大変」という声が寄せられます。高齢者紙おむつ等支給を利用されている方は経済的にも精神的にも助かります。
この11月から要介護認定を受けている第2号被保険者にも対象を広げたことは、とても良いことです。
そこで伺います。
(問)23区すべてが実施している制度ですが、条件、内容は様々です。本区の対象条件が要支援1以上となっていることは突出していて評価できますが、介護保険料所得段階5までであり、住民税非課税者に限られています。この条件を無くすよう求めます。
(答)紙おむつ支給事業は毎年約2, 200名が利用しています。これまで、本区では区民の皆様のニーズに応じ、対象者の要件緩和等対応してまいりました。所得制限については、設定していない区が15区ありますが、その場合は、介護度や一定の自己負担額を徴収する等、他の条件を課しています。また、課税者の方の場合、紙おむつ購入費が一定の要件のもとで医療費控除の対象となり、経済的な負担軽減が図られています。そのため、現在の対象条件が妥当であると考えており、拡充する予定はございません。
(問)また「おむつがたくさん必要で負担がたいへん」という声に応え、必要とする方に対し、上限額を増加するよう求めます。所見を伺います。
(答)紙おむつ支給上限額については、近年の物価上昇を踏まえ令和5年度からそれまでの6, 000円から7, 000円に引き上げたところです。上限額をさらに引き上げることについては現時点で予定しておりませんが、他区の状況、物価の動向等を踏まえ、適正な上限額について適宜検討してまいります。
高齢者エアコン設置助成について
東京都監察医務院によると、23区で今年10月31日までに熱中症で死亡した数は263人。そのうち60歳以上は251人と95%を占めています。エアコン無しの屋内死亡数は全体のうち61件でした。今年度、新たに実施した生活保護世帯の熱中症対策としてエアコン設置助成が多く利用されたことは喜ばしいことです。
高齢者の命と健康を守る取り組みとして、23区では11区がエアコン設置助成を行なっています。本区も今年度事業を開始しましたが、10月末までの申請件数は37件と、見込んでいた200件には遠く及ばない事態となっています。
そこで伺います。
(問)広報等で周知を行なっていることは承知していますが、実績が37件にとどまっていることについて、どのように分析されているのでしょうか。
(答)本事業の実施にあたり、広報としま、区内電気店への説明・周知、熱中症予防訪問時のチラシの配布を行うとともに、各高齢者総合相談センターでの相談を通じた勧奨を行ってまいりました。また、今年度実施した75歳以上の高齢者実態調査においてもエアコン設置状況についての質問を設け、把握に努めています。こうした取組みにより、必要としている方に対する周知、勧奨は行われているものと認識しておりますが、引き続き、年度末までさらなる勧奨に努めてまいります。
(問)利用対象の75歳以上で非課税世帯の条件等を緩和し、対象者を拡大していくことを求めますが、いかがでしょうか。所見を伺います。
(答)本事業は、緊急的な熱中症対策事業としてリスクの高い後期高齢者について単年度事業で実施しています。そのため来年度、条件等を緩和し対象者を拡大して実施する予定はございません。むしろ本区においては、熱中症による死亡者がエアコンが設置されていても使用していない世帯で多く見受けられるため、今年度、熱中症対策のなかで、高齢者ヘエアコンを適切に使用していただくための普及啓発を行ってまいりましたが、来年度以降はさらに力を入れて取り組んでまいります。
学校給食の質の保障と向上について
各家庭の経済力により、栄養や食べ物の種類、食事の回数まで格差が生じているだけに、学校ですべての子どもたちが等しく栄養バランスが整った給食を食べることは大事なことです。
これまでは学校が、家庭から給食費を徴収していましたが、学校給食が無償化になり、区が補助金として歳出する仕組みに変わりました。今後、財政負担を抑制するという理論が持ち込まれたならば、食材費や調理費の削減を引き起こす可能性が出てくるということが考えられます。
ある自治体では、無償化した結果、給食の質が低下したという報道を目にしました。単価を下げたことで、地域の特産品が活かせなくなり、献立のマンネリ化や果物が食べられなくなるなどです。こうした食育の本質的な意義を失うなど、あってはなりません。いっそうの充実が必要です。
そこで伺います。
(問)学校に食材を卸している業者から「物価高騰が激しく、安い食材に切り替えるなど苦労している」という話を聞きました。他区では、物価高騰対策や、おいしい給食をめざし、給食単価に10%、多いところでは35%上乗せし、給食の充実を図っています。給食単価引き上げを検討してはいかがでしょうか。
(答)年3回、栄養価に関する調査を実施し、国の定める栄養価の基準を満たしているか確認しておりますが、今年度も現在提供している給食が栄養価の基準を満たしており、また、これまで年度途中での食材の高騰が生じた場合であっても、献立や調達方法の工夫により、栄養価を落とさず提供することにし、給食の質を担保しています。直近の状況として、特に新米価格が高騰しておりましたので必要な予算措置を行い、既に給食単価の引き上げを行っております。
(問)給食費を徴収していた時は、余剰分が発生したら、翌年度に繰越して使えていたのが、清算し返納する仕組みに変わりました。給食費として全額使えるように清算する方式を改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
(答)給食費の無償化が開始された以降、給食費は公費で負担し、東京都からの補助金も含め、会計事務規則に基づき、清算手続きを行っており、翌年度分については、必要な予算を改めて、計上しています。規定に沿った会計処理を行うため、現在の清算の方式を改める考えはありません。
(問)給食の質の保障、安定供給のためには、財源の確保が重要です。また全国で無償化を実現するためにも、新たに国に対し、給食費補助制度を創設するよう求めるべきです。所見を伺います。
(答)学校給食費の無償化において、安定した財源の確保は課題であり、これまでも国の負担において学校給食費の無償化を進めることを要望してきておりますが、本年7月にも特別区長会として、財政措置を講じ、国の負担において学校給食費の無償化を進めるよう要望しておりますので、今後も引き続き、学校給食費の無償化に関することについては、国に対して、強く働きかけてまいります。
学校改築について
今定例会、議員協議会で「新たな学校改築方針」の改築スケジュールの報告がありました。民間の土地の活用や、児童数増加への対応を理由に、駒込中、駒込小、仰高小と、西巣鴨中・朋有小の小中連携校を改築する計画です。今後「新たな学校改築方針」は、2022年3月策定の「学校施設等長寿命化計画」と統合していくとしています。また、快適な学習環境を整えるため、教育大綱に沿って「学習環境整備計画」を策定するとしていますが、残りの未改築14校も早急に改築・改修スケジュールを示すべきです。
そこで伺います。
(問)今回、示された5校の改築は、このスケジュール通りに整備できるのでしょうか。懸念する事項があればお聞かせください。
(答)昨今、建設業界では、慢性的な人手不足に伴う人件費や、物価高騰による建築資材価格の上昇により、工事費が高騰しています。こうした工事費の高騰については、最新の労務単価、資材価格を予定価格に反映させるとともに、インフレスライド等の諸制度を活用し、急激な価格変動に対して、迅速かつ柔軟に対応することで、スケジュール通りの整備を行ってまいります。
(問)未改築14校は、今後20年間、改築計画がなければ、学校間格差は広がります。新たな財源確保ができたとしたら改築校を増やすことは可能でしょうか。所見を伺います。
(答)学校改築を行うためには、財政面のみならず、工事施工に伴う職員体制の確保も必要であり、昨今の建設業界における人手不足等の問題を踏まえると、受注する事業者側の人員体制や工期にも課題があるため、仮に新たな財源確保ができた場合であっても、そのことをもって直ちに改築校を追加できるわけではありません。未改築校14校については、安全性の確保と学習環境の充実が課題と捉えておりますので、学校図書館の学習情報センター化や学校プールの暑熱対策など「学習環境整備計画」を年度内に策定してまいります。
「長寿命化計画」では、建物の更新手法について、(1)学校改築、(2)長寿命化改修、(3)その他改修の3つを挙げていました。長寿命化改修には、断熱や省エネ化も含まれていました。要小を含む14校について、コンクリートの状況等の調査結果を踏まえて改築や長寿命化改修の検討や、快適な学習環境を整えるため、教育大綱(令和6年度)の取り組みとして掲げた学校図書館の学習情報センター化、課題となっている学校プールの暑熱対策等は、別途「学習環境整備計画」を策定し整備を進めるとしています。
そこで伺います。
(問)「長寿命化計画」の中の「長寿命化改修」について、現在、どう考えているのか、お答えください。
(答)令和3年度に策定した「豊島区学校施設等長寿命化計画」においては、仮校舎の確保が見通せない学校施設については学校改築を計画することが難しいため「長寿命化改修」を実施することとしていました。このたび、新たな学校改築計画により、高南小学校以外の未改築校は仮校舎を活用する建て替えスキームが確立いたしましたので、今後は全ての学校において、基本的に改築を目指してまいります。未改築校1 4校への対応については、コンクリートの状況を含めた老朽化調査を改めて実施し、その調査結果等も踏まえて、5校以降の改築や「長寿命化改修」の実施を検討してまいります。この「長寿命化改修」は、建築条件等により改築を実施しても十分な学習環境が確保できない場合に、躯体を残して建物全体をリニューアルする「スケルトン改修」を想定しております。
(問)議員協議会で、「学習環境整備計画」の位置づけは、長期的な視点ではないことが明らかになりました。区民の理解を得るには、区が責任をもって、新たな「長寿命化計画」に位置付けるなどが必要です。所見を伺います。
(答)「学習環境整備計画」は、未改築校1 4校を対象に中長期的な展望をもって、安全性の確保と学習環境のさらなる向上を目的として、今年度中に策定し、同じく今年度末までに策定予定の「豊島区教育ビジョン2 0 2 5」に位置付けます。
次に学習環境の整備についてです。
小中学校で「エアコンはついているのに、教室内の温度が下がりにくい」「エアコンが効かず、子どもたちが汗だくになりながら我慢している」など、猛暑が長期間続くせいで声があがり、熱中症が心配されます。
葛飾区では、老朽化した学校で、最上階の教室の天井や壁に断熱材を入れ、窓には太陽光を反射させるパネルを付けたところ、室温が下がり効果が認められました。これは、2022年3月に公共施設のZEB化を位置付け、新築では原則ZEB Ready以上、標準化を進める、全面改修でZEB Readyを目指す、一部改修でも部分的な改修を重ねる形でZEB Ready同等の省エネ性能をめざすとしています。
そこで伺います。
(問)熱中症は、命と健康の問題であり、学校で起きてはなりません。学校現場の聞き取りや、室温の実態調査など行なっているのでしょうか。
(答)熱中症を発生させないよう、これまでも各学校において、気温、室温の確認をしながら、適切な室温管理や水分補給の時間を設けるなどの対策を講じてきました。加えて、今年度は国及び都による「学校教育活動等における熱中症事故の防止について」の通知を受け、本年5月7日付で区立小・中学校に熱中症事故防止に向けた啓発リーフレットの配布を行い、内容を教員へ周知するとともに、特に注意を要する日には指導課よりメールで注意喚起を行い体育的行事や日々の教育活動における熱中症事故防止の徹底をその都度図っております。こうした取組みにより、今年度、学校における熱中症の発生はゼロ件となっております。また、学校側の要望をしっかりと聞き取り、エアコンの効きが悪いといったことがあれば、分解洗浄や機器調整をするなど、児童生徒の安全・安心のため、即時対応を進めています。引き続き、児童生徒の命と健康を守るため、学校と連携して熱中症予防に努めてまいります。
(問)断熱改修は、冬の寒さにも効果があり、光熱費の削減になります。特に最上階の教室などは、早急な断熱改修が必要です。ただちに実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
(答)教室の断熱化は、天井裏への断熱材の設置や窓ガラスの複層ガラス化、屋根や外壁などに断熱用建材を使用することが最も効果的であり、これまで改築にあたっては、こうした断熱性の高い教室を整備しております。また、未改築校についても、最上階への対応として、屋上防水工事と併せた断熱対策を実施してきております。したがいまして、特に最上階の断熱改修のみを緊急に実施することは考えておりませんが、断熱化を行うことで省エネルギーに繋がりますので、今後の大規模改修の中で計画的に対応してまいります。
(問)昨年の3定、小林ひろみ議員に、「区有施設のZEB化は率先して進めていく必要があると考えている」と答弁し、千川中学校の改築などに触れていました。学校改修をはじめとする区有施設について、本気でZEB化に取り組むべきですが、いかがでしょうか
(答)これまでも区有施設においては、省エネ機器の導入等によりCO2の排出が少ない施設づくりを目指す中で、新築、改築、全面改修等を計画する際は、設計委託仕様書の中で、ZEB Readyを目指すことを明記しており、現在新築を行っている区民ひろば清和複合施設や全面改修である上池袋図書館などでは、ZEB Readyに近い水準となっております。引き続き、学校改修をはじめとする区有施設のZEB化に率先して進めてまいります。
(問)普通教室のエアコンについて昨年度から今年度にかけて改修が行われた小学校は5校。エアコンを設置してから17年以上経過している学校が11校あり、そのうち、来年度改修予定が5校、検討中が6校となっています。エアコン改修サイクルはいずれも20年ほどが目安となっているようですが、長すぎるのではないでしょうか。長期間にわたる性能の低下の懸念や、省エネ性能が高い新しい機種に取り替えていく方が、得られる効果が高いと考えます。改修サイクルは短くするように見直すことを求めます。所見を伺います。
(答)本区では、空調機器の性能を保ち、長く使用できるようにするため、日常の清掃に加え、フィルターの清掃は年2回実施、分解洗浄は概ね3年に1回実施しております。また、定期的に点検や機器調整も行っており、必要な場合には修繕や部品交換も実施しております。こうした丁寧な対応を行うことにより、省エネ性能の維持に努めておりますので、改修サイクルは概ね20年間としております。今後も、近年の猛暑による機器の劣化や性能の悪化に注意を払いつつ、定期的なメンテナンスを着実に行い、学校ごとの空調機の状況を的確に把握してまいります。
わが党は、これまでも市街地再開発や池袋西口公園のグローバルリング、大塚駅北口のモニュメント、中池袋公園を含む劇場ホール、ハレザ池袋の開発、池袋保健所の移転計画等について、また、イケバスについても、反対してきました。巨額の投資事業すすめて、今後の学校を始めとする区有施設の改築・改修の経費をどうするのかと追及してきました。
そこで伺います。
(問)来街者のための、まちづくりや、大企業・ゼネコンが儲かる再開発を進め、保留床購入などを優先してきたことが問題だったのはありませんか。これまでの財政運営で、反省すべき点についてどのように考えているのか、お答えください。
(答)「都市再開発法」に基づく市街地再開発事業は、老朽化した建物が密集する地域での都市機能を更新することで、防災性を飛躍的に高めるとともに、公共施設の整備や地域経済の活性化など、豊島区のさらなる発展へとつながるものです。また、旧池袋保健所を民間企業に売却したことにより、「ハレザ池袋」一帯のにぎわいが創出されたばかりでなく、売却金を新しい池袋保健所における保留床購入の財源として「公共施設再構築基金」に積み立てることができました。加えて、新しい池袋保健所では、その立地からこれまで以上に本庁舎と連携した事業展開が期待できるとともに、東池袋駅に直結することで利用者の利便性も向上します。こうしたことから、市街地再開発事業、新しい池袋保健所ともに、区民生活やまちの発展に欠くことのできない、効果的な事業であると認識しております。
(問)今後の財政運営については、新たな大規模開発はやめ、子どもたちや区民のための施設建設や、福祉を優先すべきです。
(答)物価高騰が続く中、低所得者や生活に密着したサービスを提供する福祉や保育事業者への経済的支援をはじめ、学校給食費の無償化、出産費用の実質無償化、高齢者世帯へのエアコン設置助成など、区民生活を支えるために全力をあげて取り組んでおります。また、「区民ひろば」や「図書館」、「地域文化創造館」などの区民に身近な施設の改築や大規模改修にも継続的に取り組んでおります。さらに、年度末には学校を含めた区施設の改築改修計画を策定する予定となっております。子どもや区民の皆様を優先する財政運営は、これまでも、これからも変わるものではありません。
(問)東池袋一丁目地区、池袋駅西口地区再開発と、学校改築計画は期間が重なります。区は「再開発事業は、区の負担分も都区財調で来る」と言います。しかし、財調交付金は本来23区の自主財源であるはずです。再開発ではなく、学校や区有施設の改築・改修にこそ使うよう改めるべきと考えますが、いかがですか。所見を伺います。
(答)「財政調整交付金」は、一般財源の約4割を占める基幹歳入となっております。区は、これまでも当初の見込みを上回る「財政調整交付金」を財源として、「義務教育施設整備基金」、「公共施設再構築基金」に積み増すなど、学校や区有施設の改築・改修に活用しております。
マイナ保険証について
12月2日からの保険証の発行廃止をめぐって「マイナ保険証がないと医療機関を受診できなくなる」など、区民の不安が広がっています。それは区が「現行の健康保険証は発行されなくなります」「健康保険証はマイナ保険証へ」などとポスターやチラシで広報しているからです。一方、本区におけるマイナンバーカードの8月末の保有枚数率は68%です。マイナ保険証の登録は、7月時点の40.32%と、半分にも達していません。マイナ保険証の利用率は、7月時点の11.5%で、ほとんど使われていません。これは区民が、マイナ保険証に対してメリットがない、疑問や不安を感じていることの表れです。
そこで伺います。
(問)多くの国民から「今の保険証のままで何ら不都合はない、立ち止まるべき」という声に対して、どのように考えているのでしょうか。
(答)12月2日に現行の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することについては、マイナンバーカードを持っていない場合の対応などへの不安の声が寄せられています。これまでも、広報としまやホームページ等で繰り返し制度について周知してまいりましたが、これからも、そうした不安の声に丁寧に対応し、事業を進めてまいります。
(問)国民健康保険、後期高齢者医療制度、被用者保険が、それぞれ12月2日に現行の保険証を廃止しても、混乱することはないのでしょうか。デメリットとして、どのようなものがあると考えているのでしょうか。
(答)現行の後期高齢者医療証は来年7月末日まで、国民健康保険証は最長、来年9月末日まで利用していただくことができます。マイナ保険証をお持ちでない方には、資格確認書を申請によらず交付することで、これまでの保険証と同じように受診いただくことができます。しかしながら、マイナ保険証を使用したいと思われた方が、マイナンバーカードヘの健康保険証の利用登録がわからない、そもそもマイナンバーカードの暗証番号を忘れてしまったなどのデメリットが考えられます。そこで、区では10月18日より国保専用のマイナ保険証コールセンターを設置し、そうした声に丁寧に対応しているところです。他にも、マイナンバーカードの交付に関する問い合わせ先となる総合窓口課を含め、国民健康保険課、高齢者医療年金課、東西区民事務所の窓口に相談に来られた方にしっかり対応できるよう共通の方針をもとに、12月2日以降も安心して保険診療を受けていただけるような環境整備に取り組んでおりますので、更なる混乱が生じることはないと考えております。
(問)カードリーダーで読み取りエラーが生じた場合、資格情報のお知らせがなければ、窓口で10割を支払うことになり、持ち合わせがなければ診察を受けられないなど、不都合が生じることになりますが、どのように考えますか。
(答)マイナ保険証で資格確認が行えない場合は、過去の受診歴や資格申立書を活用することで、適切な自己負担割合の支払いを求めるよう医療機関に周知されており、対策がとられています。
(問)また、国保に限らず、健康保険に他人の情報が紐づいているなどしたら、命に関わる重大問題になりますが、いかがでしょうか。
(答)被用者保険組合などにおける別人との紐づけ誤りが報じられたこともあり、安心してマイナ保険証を利用できないという声に対しては、全ての登録データの確認作業が完了し、今年5月からはチェックシステムも稼働しておりますので、誤りはありません。
(問)マイナンバーカードを作るかどうかは任意です。マイナ保険証の登録も、マイナ保険証を使うかも任意です。任意の制度を普及するために、保険証を廃止することにはまったく道理がありません。区として任意であることを明確に区民に周知すべきです。
(答)これまでも広報としまやホームページ等で周知してきたところではありますが、マイナンバーカードの作成やマイナ保険証の使用は任意であり、マイナ保険証をお持ちでない方には、資格確認書を申請によらず交付することで、これまでの保険証と同じように受診いただくことができます。今後も、強制ではなく任意であること、また、一旦登録はされたが解除も可能であることもあわせて周知してまいります。
(問)その上で、区として、国民皆保険制度の根幹を蔑ろにするマイナ保険証の押し付けをやめ、現行保険証を存続するよう国に求めるべきです。所見を伺います。
(答)区は、国が法令で定めた制度に則って着実に進めていく役割があります。区といたしましては今後もしっかりと周知・広報を行うことで、被保険者の不安解消に努めながら、法令で定められたスケジュールに則って、引き続きマイナ保険証への移行について進めてまいります。従いまして、現行保険証を存続するよう国に求めることは考えておりません。
自治体情報システムの標準化について
国は、デジタル社会への移行が当面の最大の政治課題の一つだとして、全国の区市町村がそれぞれ独自に構築しているITシステムを標準化し、これをクラウド化する方針を打ち出し、まずは戸籍や税関連など20業務。そのうち特別区は法人住民税と固定資産税を除く18業務が指定されています。システム開発事業者は、富士通、NEC、日立といった大手ベンダーや多種多様な企業を自治体が選択でき、ガバメントクラウド事業者は、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、オラクル、さくらインターネットの5社を国が選定し、これらで運用することが推奨され、移行期限は2025年度末とされています。
2021年5月に成立したデジタル関連法ですが、当時のデジタル担当大臣は「国や自治体等が保有する有用な情報を整備・公表したり、デジタル社会における基幹的なデータベースとして、多様な主体が参照できたりするよう整備していく」と述べ、この法案の狙いが、特定の企業の儲けのために、地方自治体が持つ個人情報を利用することにあることを、あけすけに語ったため、その危険性があらわになりました。
10月の行財政改革調査特別委員会において、本区では戸籍や、児童手当など5つの業務が移行期限に間に合わない見込みと報告されました。全自治体においても、同様の問題が発生しており、何の問題もなく完了する自治体は皆無という警鐘を鳴らす識者もいます。国が相次いで仕様変更を行い、そもそも民間の銀行等のシステム改修では到底できないスケジュールを押し付けてきた責任があります。さらに、これまでも大問題であった全額国庫負担とされる国庫補助の充当額が不足している点については解消されていないどころか、移行期限に間に合わないシステムに関する経費が補助対象外とされるなど、到底考えられない事態です。
デジタル技術には、利便性と危険性の両面があり、その利用を誤ると、例えば膨大な個人情報の漏洩や、データを消滅させるとか改ざんするなど、犯罪に利用されることも考察しなければなりません。私は、デジタル技術を活用し、国民に役立つ政策は大いにすすめるべきと考えます。しかし、政府と国民の信頼関係があるか。情報の扱いに機密性と透明性があるか。個人情報が確実に守られるか。アメリカの企業に情報を委ねる点など、問題が多く、システムの標準化そのものに反対です。しかしながら移行が進められている現状において看過できない問題がありますので、以下の点を質問します。
(問)システムの標準化のメリットとして、コストの適正化が挙げられています。しかし、先行して実施した自治体からは、増加したという話が聞かれます。本区において、どれだけコストが下がるのでしょうか。
(答)デジタル庁が定める基本方針では、標準準拠システムヘ移行することにより、対象システムの運用経費を対平成30年度比で、少なくとも3割削減する旨の目標を示しています。一方で、令和5年度までに先行して移行した8自治体のうち5自治体の運用経賛が、移行前と比べ増加しております。本区では、システム移行の一部が令和9年度以降に遅れる見込みであるとともに、予定通り令和8年1月に移行するシステムにおいても、運用環境が詳細には定まっていないことなどから、現時点において運用経費や削減見込みをお示しすることはできません。
(問)また、本区のシステム構築経費は、総額30億円を超えるとされていますが、その投資分を回収できるのは何年後になると考えているのでしょうか。
(答)ただいま申し上げました通り、運用経費の見通しが立っていないことから、投資分を回収する時期についてもお示しすることはできません。
(問)国に対し、移行期間については一旦立ち止まり、再考することを求めること。また、移行に関する経費については、移行時期を問わず全額、国において負担することを求めるべきです。所見を伺います。
(答)システム標準化については、令和6年8月に特別区長会から国に対し「関連経費全てを全額国庫負担とすること」、「現実的な移行期限を設定すること」などの要望を行っております。また、先月10月には、同様の内容を都内区市町村の緊急要望として東京都がとりまとめ、国に対し改めて申入れを行っております。今後も様々な機会を捉え、国に対し必要な対応などを要望してまいります。
公契約条例について
18年前の2006年、第4回定例会の総務委員会で、私は1期目の時に公契約条例制定を求めました。当時は全国各地でILO第94号条約に基づき制定を求める動きが強まっていて、その3年後に野田市で公契約条例第1号が誕生しました。わが党区議団は繰り返し取り上げてきました。いよいよ制定が現実のものとなり、長年取り組んできた区民からは歓喜の声が上がっています。私自身も先行する自治体に引けを取らない充実した条例にしなければならないと身が引き締まる思いです。
就業者、労働者の賃金・労働条件を満たすために、適正な入札価格の設定。ダンピング防止と官製ワーキングプアの解消。より良い公共施設の提供と公共サービスの向上。事業者の経営環境を改善しながら、地域経済全体の底上げ。これらを総じて住民福祉の向上といった実効性ある公契約条例にするためには、丁寧な制度設計が必要不可欠です。
そこで伺います。
(問)条例案作成にあたる会議体は、事業者、労働団体に対し、幅広く要請し、充実したメンバー構成とすること。それに加え、アンケートを取るなどして、広く区民の声を聞くこと。
(答)条例案作成にあたる会議体については、外部の有識者や事業者・労働団体の代表者からなる会議体とすることを想定しております。また、条例制定の前にはパブリックコメントを実施し、広く区民の声を聴いてまいります。
(問)区が検討しているILO第94号条約型にして、労働報酬下限額以上の賃金を支払う内容について異論はありません。この労働報酬下限額については、23区の中で常に高い水準を維持すること。
(答)労働報酬下限額の設定方法については、今後、区内事業者との意見交換や、会議体による議論を経て決定してまいりますが、いずれにしましても労働報酬下限額が、近隣区と比較して適切な水準となることを目指してまいります。
(問)適用する労働者の範囲は、保育や介護、給食、栄養士、システムエンジニア、施設管理、整備等も含めること。業種別にそれぞれ高い水準の報酬下限額を設定すること。
(答)適用する労働者の範囲につきましては、今後の意見交換や会議体による議論を経たうえで決定してまいります。労働報酬下限額の水準については、繰り返しになりますが、近隣区と比較して適切な水準となることを目指してまいります。
(問)物品、サービスの取引。建築または製造業務。業務委託や請負契約。指定管理等、すべての事業を対象とすること。入札金額については工事1000万円以上、委託500万円以上とし、可能な限り対象範囲を広げること。
(答)本区において今後制定予定の公契約条例は、労働報酬下限額以上の支払いや連帯責任条項など、事業者の皆様のご理解、ご協力が不可欠なものになると考えております。そのため、小規模事業者等への負担軽減を考慮し、対象となる事業や予定額の範囲については、慎重に検討してまいりたいと考えております。
(問)区職員の業務量が増加することの対応策として、増員し適切に配置すること。
(答)公契約条例の制定によって、業務量の増加が見込まれる場合は、既存業務内容の見直しと合わせて、業務に必要な人員を確保してまいります。
(問)公契約審議会を設置し、区民代表、労働者、事業者、識者等、幅広い構成にし、それぞれ一定数を確保すること。審議会は傍聴可能とし、審議した内容は公開し、条例の進捗および効果を区民に公表すること。所見を伺います。
(答)公契約条例の制定にあたっては、労働報酬下限額等をご議論いただくため、外部の有識者、事業者・労働団体の代表者等を委員とする新たな審議会を設置することを想定しております。この審議会の開催の際には、他の審議会と同様に、原則公開とし、審議に支障がない範囲で内容も公表してまいります。
都立病院の独法化について
2022年7月、コロナ禍の最中に、東京都は、都立8病院・公社6病院、すべてを地方独立行政法人化、独法化しました。これは国が2019年に示した、全国437の公立・公的病院の再編、病床削減計画で、東京は9病院が名指しされたため、都知事は、国がすすめる病床削減計画の先頭に立ったものです。
独法化の問題の大きな点は、公的責任があいまいとなり、採算優先で住民サービスが後退する懸念が挙げられることから、多くの都民から反対の声が上がりました。その後、独法化から2年が経過し、紹介状なしの初診時の負担金は、1300円と5000円だったのが7000円に引き上げられました。セカンドオピニオンに関わる料金が引き上げられ、有料特別室の利用を増やすといった動きも見過ごせません。まさに行政的医療の後退が見受けられます。
都立病院の役割は感染症、小児、周産期、精神、難病、障がい者、救急、災害時医療など不採算の医療分野を担っており、民間の医療機関と連携している、いわば都民の命と健康を守る砦です。
そこで伺います。
(問)都立病院機構は、次のように発表しました。「2023年度は、前年度比276億2800万円減収し、赤字が182億9500万円にのぼった。コロナ補助金終了と物価高騰が影響し、全ての病院が赤字になった」というものです。医療従事者は身分が公務員でなくなり、賃金体系が後退したことで医師、看護師が退職し、補充がままならない状況となっています。そのため、14病院全体の9月時点の休止病床は、工事を理由とするものを除き590床とされています。中でも都立大塚病院は改修により95床が廃止削減されました。こうした状況で、医療の後退があってはならないと考えますが、認識を伺います。
(答)都立病院の独法化は、都立病院が担う行政的医療の安定的・継続的な提供及び東京都の医療施策への貢献と、医療ニーズに即応できる柔軟性と機動性の確保を可能とする選択であると認識しております。コロナ後の病院経営の困難性や医師・看護師の確保については、全国的な傾向としての課題であり、都立病院のみの問題ではないこと、また、都立大塚病院については、職員体制も整えられており、改修により病室の環境改善もはかられ、病床数減による入院待ちの状況もないとのことであるため、医療の後退とは考えておりません。
(問)都立病院は住民の命と健康を守る砦です。都に対し、直営に戻しさらに拡充することを求めるべきです。所見を伺います。
(答)都立病院は経営形態は変わりましたが、東京都が都立病院の経営含め東京都の医療政策に責任を負うことに変わりはなく、都立病院、特に本区にとって、都立大塚病院は、区の保健医療政策の重要なパートーナーであります。本区としましては、都立大塚病院が、引き続き区民の皆様の健康のため、さらに充実され、地域医療の中核として今まで同様の役割を担っていただければよく、経営形態について東京都に意見を言う立場にありません。
道路交通対策について
電動キックボードについて
電動キックボードが昨年7月に規制緩和され、特定小型原動機付自転車に分類し、時速20キロまで、16歳以上は免許なし、ヘルメットは努力義務などのルールを適用してから、1年4か月が経過しました。
国内大手企業ループに続き、8月には世界最大手、アメリカのライムが参入しました。緩和後10か月で、違反の摘発が21,562件もあり、事故が多発し、飲酒運転が突出し、池袋駅前でも60代の女性が衝突され、骨折し重傷という事件に衝撃が走りました。
こうした違反は氷山の一角です。逆走や信号無視、2人乗り、車道モードで歩道を、スピードを出して走行など、残念なことに安全運転しているケースよりも多く目にします。ライムはスクーターのように着座できるタイプのシートボードのシェアリングを始めていますが、これではホンダの電動バイクと変わりありません。事業者と危険な運転者の意識の低さ、それを野放しにしている国の姿勢が目に余ります。
緩和した日本とは逆に規制を強める都市が広がっています。シンガポールでは走行は自転車専用道路のみになりました。メルボルンでは、今年8月に実験途中でありながら事業者に撤去するよう求めました。パリは、昨年4月に住民投票を行い、シェアリングサービスを禁止しました。運転者がルールを守ることが大前提ですが、これだけの社会問題に発展している中、区も行政としての手立てが必要です。
そこで伺います。
(問)区民の安全第一の姿勢が大事です。電動キックボードの問題についてどのように考えているのでしょうか。
(答)電動キックボードは、昨年7月の道路交通法改正により一定の基準を満たす場合は、運転免許が不要となりました。これまで、交通安全の啓発活動と、警察による取り締まりを着実に実施してきたため、法改正以降、区民からのお問い合わせは1件のみです。しかし、重傷事故も起きていることから、さらなる交通安全対策のため、引き続き、利用者への注意喚起を行ってまいります。
(問)これまで本区で発生した違反、事故件数、事故の状況などについてお答えください。
(答)違反については、把握しておりません。事故については、本年1月から1 0月までに1 0件発生しておりますが、このうち、重傷事故は1件です。
(問)警察による対策強化も徐々に進みつつありますが、いつ事故が起こってもおかしくない異常事態です。国に対し、走行ルールの徹底を図り、さらなる取り締まりを強化するよう求めるべきですが、いかがでしょうか。
(答)走行ルールの徹底と取り締まり強化は、警察の所管です。区は、昨年1 2月、警視庁に対して、電動キックボードの利用ルールやマナー向上の啓発、取り締まりの強化について、すでに要望しております。
(問)区民の安全を守るため、一自治体として対策が求められています。区民の意見を聞くことが大事です。アンケートを取るなどして結果をまとめ、公表し、国に意見するなどの対応策が必要と考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。
(答)区が取り組むことは、交通安全の普及啓発活動の着実な推進です。また、引き続き、各警察署に対して、取り締まりの強化を働きかけていきます。アンケートについては現時点で実施を予定しておりませんが、国に対しては、必要な対応を求めてまいります。
オートバイ駐車場について
区民から「オートバイを止めるところがない」という声が少なからず寄せられます。声は若い男性だけでなく、女性や特に高齢者が多いというのが特徴です。
2006年に道路交通法が改正され、オートバイも駐車場に停めなければならなくなり、それからの12年間、都内では、バイク保有台数とほぼ同じ102万台が駐車違反で摘発されました。もちろん違反してはいけませんが、駐車場整備が進まなかったことが作用しています。
自転車も自動車も停めるところはあるが、オートバイは無い。しかし、今でも自転車と同様に、日常の足として利用している区民は多く、ご高齢の女性からは「移動手段として便利。仕事やお買い物、レジャーに使っているが、特に豊島区は止めるところがない。あったとしても料金が高い」という声が寄せられました。自転車駐車場改善の問題もありますが、こうした区民の声に応えた改善策が必要です。
そこで伺います。
(問)オートバイ駐車場整備について、区としてどのように位置付けてきたのでしょうか。
(答)本区では、都市計画における池袋駐車場整備地区について、池袋地区駐車場整備計画を定め、公共駐車場及び大規模開発などの民有地に自動二輪車駐車場の整備誘導を図ることなどを位置づけております。
(問)区民から「北区の北とぴあのように、施設利用時の無料駐車場がほしい」という声があります。本区でも、できるところから整備に着手すべきです。また施設改修、改築のタイミングで、設置するよう求めます。
(答)本区は、他地域に比べて公共交通が充実しており、区の施設の多くは、駅の近くに立地しているため、基本的に公共交通機関を利用していただくことが望ましいと考えています。そのため、自動二輪専用の駐車場を設置することは考えておりません。
(問)民間事業者に対し増設の働きかけが必要ですが、どのようにお考えでしょうか。
(答)池袋駐車場整備地区においては、東京都駐車場条例に基づく、地域ルールの適用による地域貢献として整備を促進することとしており、区は、既に民間施設の建替えなどに伴う、整備誘導を実施しております。その他の地域については、自動二輪車の駐車場整備に関して、特段の要望は寄せられていないことから、民間に働きかけることは考えておりません。
(問)また、新宿区、渋谷区内では、駅前であったとしても最初の2時間まで料金無料というところが数多くあります。調べたところ、渋谷区にある東京体育館の敷地にある駐車場は、自転車と同じ料金設定で、3時間まで無料。体育館を利用しなくても駐車できます。本区では、東京芸術劇場や、首都高の高架下の空間を利用している駐車場は30分100円です。なぜこうした差が生じているのでしょうか。改善の取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。
(答)利用料金は、各施設管理者などが設定しており、立地条件などが、それぞれ異なることから、料金差が生じうるものであり、市場原理の中で対応されるべきものと考えておりますので、お話の、改善の取組みは、必要ないと考えております。
以上をもちまして、森とおる議員のご質問に対する答弁を終わります。
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