「生活保護基準額を物価高騰に見合うよう引き上げることを求める意見書提出の陳情」の採択を求める本会議討論 2024年12月3日

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日本共産党、森とおるです。会派を代表して、6陳情第21号「生活保護基準額を物価高騰に見合うよう引き上げることを求める意見書提出の陳情」は、継続審査とすることに反対し、採択すべきという立場から討論を行います。

本陳情は、物価高騰に苦しむ生活保護利用者が、厳しい生活を余儀なくされているにもかかわらず、来年度は、生活保護費の大幅な引き下げが予定されていることに対し、生活保護基準額を物価高騰に見合うよう、国に、引き上げを求める意見書を提出してほしいというものです。

生活保護利用者から寄せられる声は、「物価高騰で生活が苦しい、お米までが値上がりした。1日2食になった」とか、「電気代が高いので100均の懐中電灯を使っている」とか、「買ってきた弁当を昼と夜で半分ずつ食べている」などです。

この原因となっているのが、陳情の要旨にあるように、国が生活保護基準を2013年から3回にわたり、平均6.5%、最大10%引き下げを行い、約670億円もの削減の強行です。これに対し、各地で生活保護利用者が原告となり、国・自治体を相手に、いのちのとりで裁判がたたかわれています。原告勝利が難しいとされる行政訴訟で、これまでに19の勝訴を重ねることは極めて異例なことです。昨年11月、名古屋高裁判決は、国の引き下げ処分に対し「客観的、合理的な根拠のない手法等を積み重ねた」「3度の食事ができているだけでは、健康で文化的な最低限度の生活であると言えない。健康とは栄養バランスの取れる食事。文化的とは何らかの楽しみとなることを行うこと」などとして、国の賠償責任を認めました。日本国憲法25条2項にある「国は社会福祉、社会保障の増進に努めなければならない」という基本的な立場が、今の政府には欠落しているのです。

委員会審査で述べましたが、生活保護基準額がどのように決められているのか。国の検証手法が間違っていることが大きな問題です。

その検証手法は、所得下位10%である第1十分位の消費水準と、生活保護基準を比較するという手法です。しかし、日本の生活保護の捕捉率が他の先進国と比べて極めて低い2割程度でしかなく、8割の人が受給せずに漏れているという実態からすれば、第1十分位には、その8割の生活保護基準以下の生活を強いられている世帯が、数多く含まれているということになります。そのような手法では、「絶対的な水準を割ってしまう懸念がある」と、国の生活保護基準部会も認めているほどであり、生活保護基準額を低めるための誤った手法をとっているということになります。

こうした中、生活保護基準額を見てみると、昨年度から今年度にかけては、臨時的・特例的な措置として、不十分ながらも加算が実施されています。ところが来年度以降については「来年度予算の編成過程において改めて検討」としており、このまま措置さえも実施されなければ、厚生労働省の見直し基準通りに、高齢者世帯を中心に、ファミリー世帯、母子世帯、若者単身世帯が大幅引き下げとなってしまいます。物価高騰が止まることがない中、あってはならないことです。

最近は記録的な物価高騰が、特に低所得世帯、生活保護利用世帯を直撃しています。これから来年度も物価高騰が続いていく中、生活扶助費が引き下げられるようなことになれば、生存権の確保が危うくなります。

国が、生活困窮者に痛みを押し付けているために、過酷な生活を強いられている生活保護利用者。その厳しい現実を見ようともせず、生活保護法の根幹である無差別平等の原則を揺るがしているのであれば、憲法25条を守れという区民の立場で、生活保護基準を物価高騰に見合うよう引き上げを求めることは、豊島区議会の重要な務めです。

よって、6陳情第21号「生活保護基準額を物価高騰に見合うよう引き上げることを求める意見書提出の陳情」は継続審査とせず、採択することを求めます。

以上、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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